「レディープレイヤーワン」感想(ネタバレ有)ゲーマーが劇場でズッコケた残念ポイント6つ

レディプレイヤーワン ポスター映画・ドラマ
(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED

2018年公開になった我らがスティーブン・スピルバーグ御大自らメガホンをとった超大作です。最近はめったに監督業をすることは少なく、プロデュース業に大忙しの御大ですが、久々に何かド派手な作品を撮ったということで、公開当時期待されていた作品でした。

特に日本人ファンにとっては、予告編でチラッと映った「連邦の白い悪魔」で期待は爆発。ほかにも東宝のメカなアイツに天才ブラッド・バードのアイアン・ジャイアントなど、世界と版権を超えた夢のコラボも多数あったのが本作の見どころ。

しかし、しかしだよ。

私はゲーマーの端くれとしてあえて言うが、この「レディプレイヤーワン」、ひかえめ言ってとてもまともに観てはいられない珍作(駄作とは100歩譲って言わないことにする)だと思うのよ。

これを「傑作」とか言っている人は、受け狙いで言っているでしょ、絶対。

ネタ映画として見る分にはいいが、まじめに「傑作」とか「仮想世界と現実世界に関してうんたらかんたら」言っている人は正直信用できませんな。

かくいう私、管理人はこの映画、公開当時にわざわざ劇場で見たのですが、何回も座席からずり落ちそうになりましたから。

では今回は、ゲーマー兼映画・ドラマオタとして「レディプレイヤーワン」のずっこけポイントを挙げていきますよ。ネタバレも多少ありますから(あっても別にいいと思うが)そこは気をつけてご覧ください。


映画「レディープレイヤーワン」管理人のズッコケ残念ポイント

レディプレイヤーワン

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ズッコケポイント1「全世界のゲーマー超無能」

まずこの映画の舞台となる仮想ゲーム世界「oasis」で、空前絶後のゲーム大会が開催されるというところがこの映画の物語の出発です。
そのゲームとは、このゲームの開発者であるジェームズ・ハリデーが仕掛けた

「チキチキoasis運営権争奪!僕の全財産56兆円もあげちゃうよゲーム大会」。

ゲームは3ステージあって、1stステージレースゲー2ndステージが謎解きホラーアクションゲー3rdステージがATARIソフトのどれかをクリアするレトロゲーとなっています。各ステージをクリアするとアイテムである「3つの鍵」を手に入れることができ、クリア順によって点数が加算、総合1位のプレイヤーが勝者となって、oasisの神(oasis運営権と56兆円をゲット)になれる、という流れ。

ところがこのゲーム、どうやら超絶難易度とのことで、世界中のoasisユーザーが5年かかってもまだ1stステージクリア者すらまだ出ていないそうな。

は?そんなゲーム、この世に存在できるのか?

確かに最近もFFで10数年ぶりに新たな攻略法が発見された、というようなニュースはありましたが、それにしたってどんな超難易度のゲームでもクリアされないということはまずない。クリア方法が物理的に存在しない、というのでなければ。

しかもこの映画のゲームには一般ユーザーだけでなく、多額の資本を投下して専門のチームを編成している企業なども参加しているくらいです。これでクリアできないゲームってどんなゲームなのかと思うでしょ。どんなとんでもないものなのかと。

これが結構普通なんだよなぁ。多少ネタバレになりますが、この3つのゲームを主人公チームがクリアしていくストーリーなわけ。そのクリア方法ですが、正直、こんな程度のゲームを全世界のゲーマーが5年もかけて誰もクリアできないとか、いくらファンタジーでも正直あり得ない(失笑)

どんだけこの世界のゲーマー無能なんだと、まず世界設定の甘さにズッコケてしまう。

ズッコケポイント2「レースゲームのクリア方法がファミコンレベル」

レディプレイヤーワン

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その超絶難易度のレースゲームに、主人公のウェイド君(アバター名 パーシヴァル)は当然のごとくデロリアン号で参戦!

相棒のエイチ君はマッドマックス仕様のバギーに搭乗。するとそこへヒロインとなるアバター名、アルテミスちゃんがなぜかバイクで参戦します。そのバイクというのがなんと『金田バイク』(笑)。

「あ、金田バイクやんか」と観た瞬間テンション上がりますが、そのままスルーかなと思いきや、ちゃんとエイチ君が「おい、見たか?AKIRAの金田バイクが走ってるぜ」と丁寧に解説してくれます。親切設計だね!

その後もどこかで見たことのある映画ネタのオンパレードと共に超絶ド派手なレースシーンが続きます。確かにこのレースシーンはもの凄くて映画序盤最大の見どころ。

そしてレース終盤、ゴール寸前エリアに現れて、並みいる強豪ゲーマーを叩き潰していく大きな壁となるのがキングコング先輩です(笑)。

レディプレイヤーワン

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主人公のパーシヴァル君もヒロインのアルテミスちゃんも、このコング先輩を抜くことが出来ず、金田バイクはあえなく大破します!

そこで正攻法ではコング先輩を突破することは不可能と悟った主人公チームは、このゲームの発案者であるハリデーに関する情報アーカイブを公開している「ハリデー殿堂」という所へ行き、ゲームクリアの手掛かりを探しに行くことになるのです・・・

ハリデーと共同開発者のモローとの過去の会話データを手掛かりに、見事パーシヴァル君はレースゲームのクリア方法を見つけ出します。

ここはネタバレになりますが、その方法とは、

レースがブルーライト(開始)になったと同時に全速力でバックする

というもの。

ゲームクリアにいたる真のルートは眼前のレースコースではなく、実は後ろ側にあったというわけ。

パーシヴァル君はレース開始とともに1台だけスタートせずその場にとどまり、全速力でバックにギアを入れてアクセスを踏みます。

するとそこには華々しく討ち死にするゲーマー共の屍を横目に、なんとノーダメージでコング先輩の背後に抜ける秘密ルートが!!

パーシヴァル君の不審な動きに気づいたアルテミスちゃんやエイチ君などのお仲間も後に続き、見事主人公チームはゲームをクリア!

晴れてご褒美の「鍵」を手に入れます。やったぜ!めでたしめでたしー って

待て待て待て待て待て待て待て待て!!!!!!

ファミコンやんか。8ビットやん。昔、そんなん結構あったと思うけど。コントローラーのマイクを使うとかな。

10000歩譲って、あえてそういうレトロな仕掛けがあったとしよう。世のゲーマーは何億人いると思ってるんですか?

この程度の仕掛けを、全世界の誰も解けないというのは、何の世界線なんです?アホの世界線でしょうかね?

ホントね、ここでワタシ劇場でリアルに席から落ちそうになりました。ここまでで開始30分くらいなんですが、「これはヤバそう」と悟った瞬間です…

ズッコケポイント3「凄腕ゲーマー・ウェイド君、ネットリテラシーのレベルは0」

レディプレイヤーワン

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ところで、2ndステージは謎解きホラーアクションゲー。ここは多数のホラー映画のオマージュの連発で(ほぼ『シャイニング』のパロディーだが)、そのクリアのカギとなったは「童貞君の恋愛劇」。

主人公のウェイド君は(アバター名「パーシヴァル」。童貞)、ネトゲで仲良くなったアルテミスちゃんに恋をしてしまうという、ネトゲでやってはならんランキング1位の行動をしてしまうわけですが、当然お仲間のエイチ君からは

「お前アホか、利用されとるだけやぞ」
「本体はネカマかもしれんし、デトロイトのニート(笑)かもしれへんやろ」

というぐうの音も出ない正論で諫められます。でもでも走り出した恋は止まらない!!

なんとoasis暫定1位のトップゲーマーのパーシヴァル君、敵にマークされている状態で、これまたネトゲでやってはならんランキング2位の行動、ネトゲ相手に本名を打ち明けるという、即切腹モノの醜態をさらします。おかげでアルテミスちゃんにもキレられ、敵から本体を追跡されるという危機に陥る始末。

え?こいつ、凄腕のゲーマーなんやろ?ネットリテラシーなんぞ思春期の情熱の前には無力とでも言いたいんかね?まぁ、そんなのかもしれんが。

しかし、ストーリーやキャラクター上で主人公にこうしたアホをさせるのは演出上仕方ないのかもしれんが、さすがに無理がある。ここらへんで、そもそも全編を通じてスピルバーグがゲームに興味がないことがひしひしと伝わってくるのが残念なところなんですよ。スピルバーグ監督自体はガキの頃から作品含めて大好きなのだが、監督がゲーマーではないことはゲーマーにはすぐにわかるんだよね・・

ズッコケポイント4「謎の美女アバターの正体は!?…美女でした(爆)」

それでこの後、パーシヴァル君ことウェイド君は本体の命が狙われることになるのですが、このくだりでなんと、アルテミスちゃんの本体と出会うことになります。

このアルテミスちゃん、アバター時は「本体を見たら失望することになるわよ」とか言っていたので、「これはデトロイトのニートが出てくるんやろうなぁ」と思っていましたら、なんとその正体はオリビア・クック演じる、右目の周りに申し訳程度のアザがあるだけのサマンサちゃんとかいう美少女!

オリビエ・クック

はい。かわいい(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED

ウェイド君やったぜ!本体の方がカワイイやんか!!

夢のようだね。ああ、夢のようだよ。

しかしね、今はネトゲが生まれてもう20年以上、いまさらそんなおとぎ話が通用するのかい。

もちろん、ネトゲで知り合った相手がアイドルだったといった、まさに夢のような話も現実にはあるらしいのだが、いくらなんでも21世紀にもなってウキウキで展開するような話なのかね。。

まぁ本当にデトロイトのニートが出てきても困るのですが、申し訳程度に目の周りにあざがある美少女とかいう、少林サッカーのビッキー・チャオ以来のポリコレに配慮したかのような設定も、ちょっと冷めます。あと、サマンサさんの所属組織についても言いたいことはあるが、まだまだ言いたいことがあるので割愛。

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ズッコケポイント5「敵の組織が超絶無能(今世紀最大レベル)」

レディプレイヤーワン IOI社

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これはね、ホントひどい。
I0I社っていう会社なんですがね。あまりにもひどいので、さらに4項目に分けて説明しましょう。

ちなみにこのI0I社、何らかの巨大IT企業らしいが(映画観ている限りではあんましそれ以上のことはわからん)、劇中でやっていることはoasisで未払いとなった重課金ユーザーに対する取り立て回収業務。なんと支払いができないユーザーはそのまま会社の奴隷兵として強制徴用するという無茶苦茶な会社なんです。ハッキリ言って闇金よりコワいよ。これが上場会社として許されてる世界もコワすぎる。

しかも、会社をあげてoasis運営権を巡るゲームに大資本と人的資源を投じたあげく、ゲームクリアのためにはリアルでの殺人行為もいとわないという狂気っぷりです。まぁ、この時点で十分こける体もない状態だが、これを前提にしても凄すぎるのでちょっとリストアップしていきます。

ココがヒドイよIOI社:その1「大金かけても1stステージすらクリアできないアホの集まり」

これは先ほど指摘した「1stステージ簡単すぎ問題」に絡みますが、このI0I社、社員を大量投入し、会社の資金で重課金しまくった状態でゲームに参加しているにもかかわらず、5年かかっても1stステージをクリアできていないという超絶無能集団です。一体お前ら、いろんなところでどうなっているのか?

と言っても「レディープレイヤーワン」世界ではまだ誰もクリアしていないという状態なので、社員に限らず無能しか存在しない世界なのかもしれませんがね。しかし、なんか天才を世界中から集めました、みたいな感じを出してた気もするのだが。入社するとアホになるのか?

ココがヒドイよIOI社:その2「勝てない相手はリアルに暗殺しようとする」

見事1stステージをクリアしたパーシヴァル君たちに最初は買収交渉(失笑)を仕掛けるのですが、その取引が破綻したと見るや、なんとこの無能企業、パーシヴァル君たちの本体を探し出してこれをリアルに抹殺するべく、怖いお姉さん率いる私設部隊(笑)を出動させます。

ひええええ、もうやめて。おなかいっぱい。

しかもゲーマーのクソガキ一人、ロクに抹殺もできんというオマケつきだ。

ココがヒドイよIOI社:その3「社会倫理は守らないがゲームのルールは守る!」

しかもこのIOI社の連中、oasis内では意外とルールを順守しているようなのが笑える。

シャレにならんレベルのチート行為(不正データを使ってゲームを有利に進める行為)はどうもやっていないみたいなんですよ。劇中の描写から察するに。

要するにゲームのルールは大体守るけど社会のルールは全く守らないという狂った企業なんだな、この会社。何だこいつら、狂ってやがるぜ…

ココがヒドイよIOI社:その4「社長、そのパスワード。丸見えですよ」

そして極め付きはコレ。この社長の無能さたるや、今世紀最大級と言っていい。

レディプレイヤーワン

今世紀最大級だ。(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED

問題の場面は社長自らパーシヴァル君に買収を持ちかけるシーン。

ここで社長、ご自慢のなんかとっても凄そうなゲーミングチェアを見せつけ、
「どうだパーシヴァル君、我々の仲間になったらこれをあげるよ」
とかなんとか言ってくるのですが、よく見るとそのチェアのひじ掛けあたりにこれ見よがしに付箋が貼ってある!

「まさかそんなバカな」とパーシヴァル君でなくても目を疑いますが、なんとその付箋には社長手書きの社員専用ログインパスワードが書かれているではありませんか!しかも社長権限で情報アクセスできるという最高機密レベルのパスワードだ!!!

いいですか皆さん!

どこの世界に自分の最高機密レベルの情報を開示した状態で、敵と交渉するバカがいますか?

これはネット上のセキュリティー以前に、人としての能力の問題ですよ社長(悲)
まずは2段階認証とか、そのあたりのことを部下の名前よりも先にしっかり覚えてください(願)

ズッコケポイント6「ガンダムじゃない」

レディプレイヤーワン 最終ステージ

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なんだかんだでクライマックスになるの3rdステージ。ここではATARIのレトロゲームのどれかを探し当てて、それをクリアしなければならないということが判明しますが、なんとここでI0I社はゲームを解くために用意されたテレビとゲーム機の周辺を超強力バリアで封鎖し、自社の抱える課金兵によって防衛網を敷くという荒業に出ます。

なんとかこの防衛網を突破すべく、主人公のパーシヴァル君は世界中のoasisユーザーに動員をかけ、はるか地平線の彼方から押し寄せる全世界数千万の課金兵の皆さんとともに大決戦を繰り広げます(棒)

合戦も佳境となり、I0I社は最終防衛ラインになぜかメカゴジラを投入してきます!何かの垣根、いや、越えてはならない一線を乗り越えた瞬間です!これに対抗すべく、すでにアイアンジャイアントで合戦に参加していたエイチ君と、ついに来ました「連邦の白い悪魔」を課金したお仲間のダイトウ君による

メカゴジラ VS アイアンジャイアント&連邦の白い悪魔(ガンダム)

という、あまり誰からも望まれていないドリームマッチが開催されることに。

何言っているかわからない?うん、まぁ、元気があれば本編で観てください。

レディプレイヤーワン

来ちゃった。(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED

それで、このRX-78(ガンダム)大暴れシーン。日本のオタクとしてはここだけちゃんとやってくれたら許すという場面だったのですが、大したガンダムオタでもない管理人ですら、画面上を踊る白い悪魔、RX-78君の様子を見るたびにテンションダウンしていきました。。。

以下、当時の心のつぶやき。

  • これはガンダムじゃない。
  • 全然ガンダムの動きじゃない。
  • アムロじゃなくてセイラさんが乗っているのかしら?
  • いや、それ以前にこれRX-78の動きじゃない。

さらに

  • 課金してるのになぜいつまでもビームサーベル1本なのか
  • ビームライフルとハイパーバズーカがないとか、なぜ通常兵装で出てこないのか
  • 早くマグネットコーティングに課金しなさいよ。メカゴジラとかワンパンやろ。
  • デカブツと闘うならせめてスレッガーさんを呼んで来てくださいよ
  • いつまでも重力に魂を引きずられすぎやぞ

製作チームはガンダム観たこと、いや、乗ったことあるのかしら?
せめて「戦場の絆」か「ガンダムブレイカー」でもやってからRX-78を動かしていただきたい。


何となくゲームに対する上から目線が気にくわない

ということで、ツッコミつつ、脱力しつつ観る分には楽しめるのですが、何となくゲームを文化として下にみている傲慢さが感じられるのが好きではない点です。

せめて仮想現実と現実というテーマ性に関しても、何かマシなメッセージがあるのかと思いきや、最終的なオチが
「うん、ゲームの世界も楽しいけどほどほどにね!oasisは週2日休業するよ!」
って、なんじゃそら。20年前のオカンやないねん。

画面は最新技術ですが、価値観が古臭すぎる。ゲーム文化がどんどん世界中で存在感を増している中でのコレはちょっといただけない。

スピルバーグ監督の初期作「激突」とかの方が、ゲーマー心を10000倍くすぐられる。あんな作品を作ってほしいんだよ監督。

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(本ページの情報は2020年7月時点のものです。 最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。)